医療用ウィッグを取り入れるときに美容師が知っておきたいこと

美容師が医療用ウィッグに関わる意義

美容師という仕事は、髪を整えるだけでなく
「お客様の気持ちに寄り添うこと」
が大きな役割です。

がん治療や脱毛症などで髪を失った方にとって、髪型や見た目の変化は日常生活の自信や人間関係にも大きく影響します。

こうしたとき、患者さんが最も安心できるのは
「信頼している美容師に相談できること」です。
医療現場では外見ケアに十分な時間をかけられないため、
美容室という身近な場で、自然に相談できる存在が求められています

美容師が医療用ウィッグに関わることは、単に髪を扱う以上に「お客様の心を支える仕事」でもあるのです。



サロンで実際に求められるシーン

医療用ウィッグを取り扱う美容室では、
以下のような場面でサポートが必要とされます。

脱毛前からの相談対応

治療を始める前から「どんな準備をすればよいか」と悩む方は少なくありません。脱毛が始まる前に使用できるウィッグが決まり、相談できる美容室があることで、患者さんは安心して治療に臨めます。

治療中のフィッティング・サイズ調整

実際に脱毛が始まると、頭の形やサイズに変化が生じます。既製品ウィッグでは合わないことも多いため、美容師がフィット感を調整し(縫製で)、元の髪形になるべく近づけ自然に見えるカットを行うことが重要です。

治療後の自毛デビューまでの伴走

治療が終わり髪が生えてきても、伸びかけの髪は扱いが難しく、不安を抱える方も多いです。
また頭皮をご心配される方も多く、ウィッグのサポートをしながら
頭皮ケアメニューや伸びてきた白髪のヘアマニキュアなど、ウィッグ卒業前にも髪や頭皮のケアでリラックスできます。
また「自毛デビュー」のサポートを行うことで
長期的に通常の美容室の顧客化に繋がります。

👉 このように、医療用ウィッグの仕事は「短期的なお手伝い」ではなく、治療前から治療後まで長く寄り添う関わりになります。

導入のメリットと広がる可能

社会貢献としての意義

「髪を整えること」が患者さんの安心や笑顔につながるのは、美容師にしかできない社会貢献です。感謝の言葉を直接いただけることも多く、やりがいを実感できます。

差別化やリピーター獲得につながる

医療用ウィッグを扱える美容室はまだ限られています。
導入することで他店との差別化になり、新規のお客様が「この美容室なら安心」と選んでくださいます。さらに、ウィッグを卒業した後も継続して来店いただけるケースが多いのも特徴です。

患者さんやご家族との信頼関係

患者さんだけでなく、ご家族からも「ここに相談できてよかった」と言っていただけることがあります。サロン全体の信頼感を高め、地域に根ざした存在となることにもつながります。

次のステップに進むに

「医療用ウィッグを取り入れてみたい」と思ったら、少しずつ準備を始めましょう。

講習や研修で基礎を学ぶ

医療知識やフィッティング技術を学べる講習は各地で開催されています。基本を押さえることで、自信を持ってお客様に対応できるようになります。

サロン環境を整える(個室・プライバシー配慮)

患者さんにとって「人目を気にせず相談できる空間」はとても大切です。完全個室でなくても、カーテンやパーテーションで仕切るだけでも安心感は大きく変わります。

無理なく始める方法

最初から大掛かりに導入しなくても大丈夫です。まずは「相談を受け付ける」ことから始めて、少しずつ施術やフィッティングを取り入れていくと、既存の営業と並行しやすいです。


まとめ

医療用ウィッグの仕事は、特別な才能や資格がなければできないものではありません。普段の美容師としての技術と経験が、そのまま患者さんの支えになります。

「やってみたい」という気持ちを持ったときが、最初の一歩を踏み出すタイミングです。

次回は、実際に始める前に押さえておきたい「知識と心構え」についてご紹介します。