医療用ウィッグの料金設定とメニューづくりの考え方
なぜ料金設定が難しいのか
医療用ウィッグをサロンに導入しようと思ったとき、多くの美容師さんが迷うのが料金設定です。
「通常のカット料金と同じでいいの?」
「相談料をもらってもいいの?」など、
正解が見えにくい部分でもあります。
しかし、料金を決めるうえで大切なのは、
**“患者さんにとって安心で、サロンにとって無理のない形”**
を考えること。
医療用ウィッグは「単発の施術」ではなく
、治療前から治療後まで続く“長いお付き合い”の仕事です。
料金もその流れの中で設計していくのがポイントです。
医療用ウィッグのメニューを考える
相談・カウンセリング料金をどうするか
ウィッグのご試着・ご相談は
患者さんのご希望を伺いウィッグの提案をしていきます。
通常、ご試着もしていただいて通常30分~1時間程度です。
このとき「相談料は無料です」とお伝えすると
安心される反面、美容師側の時間的負担が大きく感じるかもしれません。
現実は多くのウィッグメーカーや販売店は
ご試着・ご相談が『無料』というのがほとんどです。
ここで有料とするとご相談の数は
グッと減ることになるでしょう。
まだウィッグの仕事に慣れていない方は
勉強させていただくという気持ちで
経験を積むためにも無料とすることをおススメします。
カットやフィッティングをどう組み込むか
持ち込みウィッグのカット

最近はネット購入のウィッグが多くなってきました。
ただ、ウィッグのカットのできる店が意外に少ないのが現状です。
また大手ウィッグ会社は自社ウィッグ以外の製品はカットをお断りしています。
ウィッグを購入しても気なる部分のカットを
お願いできる美容室を皆さんお探しですので
これから医療用ウィッグの販売を始める方は
取り扱っていないウィッグ会社のもの
カットをお引き受けして間口を広げてください。
いろいろなウィッグを見る機会になりますし
ウィッグのカットでご来店の方が
髪が伸びてきたときに自毛のメニューでも
ご来店いただいてそのまま顧客になるケースも多々あります。
このとき通常の「カット料金」とは別に「ウィッグカット」というメニューを設けることになります。
ウィッグのカットメニューは通常のカットメニューより少し高いことが多いです。
既製品のウィッグを少しカットする程度ですと
短時間で済みますが、ノーカットウィッグの持ち込みは倍以上の時間が必要になることもあります。
○○○○円~として、一定の額を確定しないでおきましょう。
ウィッグ販売時のアフターケアを含めた料金設計
ウィッグ販売の時は、販売後もサイズ調整・毛量調整などのメンテナンスが必要になる場合があります。
そのため、アフターケアを最初から料金に含めておくのもおすすめです。
例)
「医療用ウィッグセット」
内容:初回カウンセリング+フィッティング+カット+1回調整付き
料金:○○円
こうして「最初から最後まで安心してお願いできる」と思ってもらえるメニュー設計にすると、患者さんが選びやすくなります。
また、ウィッグの価格に1年無料サポートもつけることも
患者さん側から安心していただけます。
(スリールは無料サポートが付いております)
継続サポートの考え方
治療後も続く関係を見据える
髪が生え始めた「自毛デビュー」後のケアは、患者さんにとって非常に心強いサポートになります。
この時期は髪が細く、クセが出やすいことも多いため、**「ウィッグ卒業サポート」**という形でメニュー化すると喜ばれます。
例)
- 自毛デビューカット:6,000円
- 頭皮ケアメニュー:5,000円
一度ウィッグで信頼を得たお客様は、その後も長く通ってくださるケースが多くあります。長期的な関係を前提に料金を考えると、自然と無理のない形になります。
料金を伝えるときに意識したいこと
- 価格を隠さないことが信頼につながる
「お問い合わせください」よりも「このくらいの目安」と示すほうが安心されます。 - “できること・できないこと”を明確に伝える
再現できる範囲や調整回数などを説明しておくとトラブルを防げます。 - “患者さんにとっての安心感”を優先に
「何度も通える」「卒業まで見てもらえる」と感じてもらうことが一番大切です。
長年やっていて感じること
私の取り扱うスリールは1年間無料サポート付きで何度でもカットをして差し上げられます。その分お客様も気軽にヘアースタイルを変えることができます。
また、持ち込みウィッグのカットのご相談もほどほどあります。
この「ほどほど」というのは、ブログなどで持ち込みウィッグカットの事例を更新すると、すぐに何軒かのご予約をいただくのですが、今時点はお店が忙しく、あえて違うテーマを話題にしております。
ウィッグカットの価格設定は、あまり高いとご相談の数も減ってしまいます。
経験を増やすために普通のカット+1000円程度が妥当だと思います。
(人毛100%ノーカットウィッグは時間がかかるので、通常の1,5倍以上の料金設定と考えらております)
まとめ
医療用ウィッグの料金設定には“正解”はありませんが、共通して言えるのは、患者さんの安心とサロンの持続性を両立する設計にすることです。
- 初回相談は「安心して話せる場」として設ける
- カットやフィッティングを明確にメニュー化する
- 卒業後までを見据えた料金体系を作る
この3つを意識するだけで、医療用ウィッグメニューはぐっと現実的になります。
次回は「ご試着・ご予約対応編」として、実際にお客様を迎える準備が整えらるように更新していきます。